「ゆとり世代は仕事ができない」というフレーズを聞いたことがある人は多いですよね。
今や、ニュースだけでなくドラマの題材までにも使われてしまったゆとり世代。
本当に仕事ができないのでしょうか…
今回はゆとり世代だから仕事ができないは嘘!というテーマで、ゆとり世代がうけた教育や世間で言われているゆとり世代の特徴を紹介し「〇〇世代だから~」という人達の矛盾点について紹介したいと思います。
ゆとり世代の教育が他の世代と違うこと
そもそもゆとり世代が「ゆとり」と言われる理由は、国がこの時期に教育方針を変更したことが影響しています。
実際にどのような教育改革が行われたか。
ゆとり世代の第1号と言われる人々は、2002年度から小学校や中学校で教育を受けた人達のことです。
それまでの教育現場では、教師がひたすら一方的に授業を展開し暗記によって知識を増やす、つまり詰め込み式の教育が行われていました。
この教育によって、生徒の中では自分自身で学ぶことができない子どもが増え、授業についていけない子どもの増加が問題視されるようになっていました。
また、この詰め込み式の教育が行われている時には土曜日も学校があり子ども達は週6日学校に通学している状況でした。
時代の移り変わりによって小学生・中学生でも受験を控える子どもが増え、学校が終わった後も学習塾をはじめとし習い事に通う子どもも増加しました。
子どもたちには余裕がないストレスフルな日常に疲弊し、学校内の陰湿ないじめ問題や少年犯罪が増加したのが、ちょうどこのゆとり教育が導入される前の時代でもあります。
そんな社会環境の中、国は子ども達が自分達自身で勉強できる時間を増やし心のゆとりと自ら学ぶ姿勢を養わせたいという思いのもと、ゆとり教育の導入を決定しました。
実際に行われたゆとり教育とは下記のような内容です。
- 授業カリキュラムを見直し授業時間の減少
- 総合的な学習の時間を導入
- 相対評価を廃止し絶対評価を導入
授業時間の減少
ゆとり教育では、授業時間の減少として土曜日の授業を徐々に減少させ、完全週休2日制(土日が完全に休みになること)まで授業数を減少させました。
また、授業のカリキュラムが見直されて授業時間の削減も行われましたが、通常の教科学習の時間は大幅に減らすことは難しいため主に学級会活動やクラブ活動などの時間が削減されました。
総合的な学習の時間を導入
総合的な学習の時間とは、文部科学省のホームページによると下記のようになっていました。
総合的な学習の時間は、変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることなどをねらいとすることから、思考力・判断力・表現力等が求められる「知識基盤社会」の時代においてますます重要な役割を果たすものである。
子ども達が自主的に学習習慣を身につけられるように導入されたことが良くわかりますね。
総合的な学習の時間は、ゆとり教育が廃止されたあと授業時間は減少されましたが今でも取り入れられている学習になります。
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相対評価を廃止し絶対評価を導入
ゆとり教育が導入された際に、絶対評価の導入が行われました。
相対評価とは集団の中で自分が何位かによって評価がつけられるものです。
一方で絶対評価とは自分以外の評価は関係なく自分が何点をとったかで評価をつけられます。
つまり、相対評価の頃は例えば、自分が80点をとっても平均点が80点の場合には5段階評価では3の評価がつきます。
逆に絶対評価の場合には、自分が80点をとれば平均点が80点でも5段階評価で4がつきます。この評価基準の変化によって良い成績がとりやすくなったとも言われています。
以上の3つが主にゆとり世代の時に変更となった教育改革になります。
このたった3つの教育改革が、ゆとり世代が仕事ができないと言われることに本当につながるのか?ちょっと疑問もありますよね。
次の項で説明したいと思います。
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ゆとり世代は仕事ができないという評価は間違い
ゆとり世代の人が仕事ができない特徴として、下記のことが良く言われています。
- 競争意識が低い
- プライベートを重視する
- 先輩を敬わない、叱られ慣れていない
- 転職する人が増えた
一つずつ解説しながら矛盾も紹介したいと思います。
競争意識が低い
ゆとり世代の人は、教育改革の中で評価基準が絶対評価になったため競争意識が低く仕事ができないと言わる傾向があります。
社会人として働く中で競争意識が低いという評価は、利益を追い求めていないことになりう致命的ですよね。
また、仕事で成果を出すのに必死になっていない印象を与え一生懸命取り組んでる人にとっては嫌ですよね。
確かにゆとり教育の導入では良い成績をとるために周りの人と競争する必要はなくなりました。
とはいっても、自分が努力しなければ良い成績はとれませんし、高校受験や大学受験では周りの人と競争する必要があります。
また、ゆとり教育が行われていたのは小学校と中学校そして公立の高校の一部だけです。
高校から私立に行っている人や大学生は他の世代の人と同じような教育を受けていますし競争社会の中で成長しています。
このことから、ゆとり教育を受けていたからといって、競争意識が低く仕事ができないという認識は明らかに間違っていると言えます。
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プライベートを重視する
ゆとり世代の人は他の世代の人よりプライベートを重視しやすく仕事上の付き合いが悪いと言われることがあります。
これは、ゆとり教育で行われた個を大切にする方針がそうさせているというのでしょか.....?
私が思うに、今の若い人がプライベートを重視するのは、給料が低く飲み会の費用がだせないことやパワハラ上司が増えたことが原因だと思います。
以前は若い人が飲み会に行くと上司が全てのお会計を出してくれました。
飲み会で上司の話を聞くのは面倒だけど良い店で夕食を無料でとれることは若者にも魅力的でした。
しかし、今では会社の飲み会はチェーン店でばかり実施され、さらに若い人でも費用の支払いが求められることがほとんどという実態があります。
この状況では若い人はなかなか飲み会に行こうとは思わないですよね…
お金がさらにかかる休日のゴルフなどはもってのほかだと思います。
ゆとり世代が仕事上の付き合いよりプライベートを重視するのはゆとり教育を受けたからとい理由には全くつながらないですね。
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先輩を敬わない、叱られ慣れていない
「今の若者は、上司に対する態度がしっかりできない。」
・・・・なんて、ゆとり世代でなくても若手なら仕事場ではよく言われますよね。
新人教育が終わった後の飲み会でおじさん達が話をしていると、私は思わず笑ってしまいます。
でもゆとり世代は、なぜか怒られて成長していないという印象がついてしまい、他の世代よりも余計に上下関係のことを言われやすい傾向があります。(体罰が教育現場で禁止になったという印象が影響しているのかもしれないですね.....)
確かに、昔に比べると今の時代は生活している上で年上の人から怒られることは減ってきたと思います。
でもこれはゆとり教育を受けたからではなく、核家族が増えたことやパワハラなどが社会問題になっているという社会背景が影響していることだと考えられます。
(ゆとり教育の改革内容に叱ってはいけないなんて項目ないですからね)
先輩を敬わない、叱られ慣れていないということもゆとり世代だからという理由ではないと言えます。
転職する人が増えた
ゆとり世代が言われやすい特徴として、転職する人が増えたということがあります。
確かに、ゆとり世代と言われる人達が20代の頃(ゆとり世代の人は現在30代前半の年齢になります)に転職市場がかなり活発化して転職する若者が増えました。
会社にとって転職という選択肢がある若者を指導するのはなかなか大変なものです。
転職する前には仕事に対するモチベーションは低下しますし、転職が決まれば仕事を全くしなくなる人もいるので、ゆとり世代全体が仕事ができないと言われてしまうこともあるようですね。
しかし、これも企業が終身雇用をやめはじめ転職が当たり前になってきた時代が原因と言えます。
ゆとり教育を受けたからといって仕事が長続きできないは当てはまらないですよね。
以上がゆとり世代が仕事ができない特徴として良く言われることとその矛盾点になります。
ざっーとみただけでも、世間で仕事ができないと言われているゆとり世代の特徴はゆとり教育を受けたからではないことが分かりますよね。
世代でまとめて評価するのは恥ずかしい大人
ゆとり世代として社会人になった人には仕事場で「○○君はゆとり世代?」なんて言われたことがある人は結構多くいると思います。
自分は好んでその時代に生きてきた訳ではないですし、国の決まりで強制的に教育改革が行われたために仕事をするようになっても「ゆとりだから仕事ができないんだ」と言われるのは腹がたちますよね。
でも自分達の今の上司に当たる40代後半~50代半ばの人は、バブル世代と言われ苦労知らずで良い就職先に入社し危機感もないので仕事ができないと言われています。
また、自分達の後輩にあたる今の20代はさとり世代と言われ欲がなく人間関係も希薄、何事にもあきらめの姿勢で仕事ができないと言われています。
つまり、どの〇〇世代の人でも世間では仕事ができないダメ人間だといって苦しめあっているんですね。
むなしい社会ですよね。
今回もゆとり世代だから仕事ができないには矛盾がたくさんあることを紹介しました。
これは他の世代で言われていることも同じことだと思います。
「〇〇世代だから仕事ができないよね」なんて言っている人は、人を評価する能力がなくメディアに踊らされる恥ずかしい大人だと思って無視するようにしましょう。
また、今後新しい〇〇世代という言葉が生まれても、〇〇世代だから~できないなんて
勝手な固定概念を持たずに、社会人らしい付き合い方をするように自分自身もしていきたいと思います。
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